【あしたが変わるトリセツショー】甲状腺と疲れ・体重減少の関係を解説!

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「最近、食欲はあるのに体重が減ってきた」「寝ても疲れが取れない」――こうした悩みを抱えている方は少なくありません。

単なるダイエットや加齢によるものと思いがちですが、実は 甲状腺の異常 が隠れている可能性があります。

甲状腺は首の前側にある小さな臓器ですが、全身の代謝をコントロールする重要な働きを持っています。

そのため、甲状腺ホルモンの分泌に異常が生じると、疲れや体重減少といった症状が現れやすいのです。

本記事では、甲状腺と疲れ・体重減少の関係について、医学的な知識を踏まえてわかりやすく解説します。

さらに、症状のチェックポイントや受診の目安、生活で気をつけたいことについてもご紹介します。

目次

甲状腺とはどんな臓器か

まずは、甲状腺の基本的な働きを整理しておきましょう。

項目内容
場所首の前側、のどぼとけのすぐ下
大きさ約20g(蝶の形をした小さな臓器)
分泌するホルモンT3(トリヨードサイロニン)、T4(サイロキシン)
主な役割体の代謝をコントロールし、体温や心拍数、エネルギー消費を調整

甲状腺ホルモンは、私たちの体を動かすエネルギー代謝を管理しています。

車でたとえると「アクセル」と同じで、ホルモンが過剰になればフルスピード、少なければスローダウンする仕組みです。

甲状腺と疲れ・体重減少の関係

ここからは、本題として「疲れ」と「体重減少」がどのように甲状腺の異常と結びつくのかを詳しく解説します。

1. 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)と体重減少

甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気を 甲状腺機能亢進症 と呼びます。

代表的なものに バセドウ病 があります。

  • 代謝が過剰に働くため、消費エネルギーが大幅に増える
  • 食欲があるのに体重が減少する
  • 心臓が常に早く動き、動悸や息切れが出る
  • 睡眠の質が下がり、慢性的な疲労感につながる

つまり、体は「常に全力疾走している」状態です。

亢進症の主な症状一覧

症状特徴
疲れやすさ寝ても疲れが取れない、体力が落ちる
体重減少食べても体重が減る
動悸・息切れ安静時でも心臓がドキドキする
発汗・暑がり汗をかきやすく、夏が特につらい
イライラ感精神的に落ち着かない
甲状腺腫大首の前が腫れて見えることがある

2. 甲状腺機能低下症(橋本病など)と疲れ

逆に、甲状腺ホルモンが不足すると 甲状腺機能低下症 になります。

代表的な病気は 橋本病 です。

  • 代謝が落ち、体全体のエネルギーが不足
  • 強い倦怠感や集中力の低下
  • 少しの活動でも疲れる
  • むくみや体重増加が多いが、場合によっては食欲不振で体重減少することもある

低下症の主な症状一覧

症状特徴
強い疲労感朝起きても疲れている
体重の変化増えることが多いが、減る場合もある
むくみ顔や手足がむくむ
寒がり冬だけでなく室内でも寒く感じる
抜け毛髪が薄くなることがある
皮膚の乾燥カサカサ肌になりやすい

3. 疲れと体重減少が同時に起こる理由

甲状腺ホルモンは、全身の細胞に「どれくらいエネルギーを使うか」を指示しています。

そのため、分泌量が多すぎても少なすぎても、疲れと体重変化が同時に現れやすいのです。

  • 亢進症 → 疲れ(体力消耗)+体重減少(代謝過多)
  • 低下症 → 疲れ(エネルギー不足)+体重増加(代謝低下)または減少(食欲低下時)

4. 甲状腺異常を疑うべきサイン

こんな症状が続くときは注意が必要です。

  • 食欲はあるのに痩せていく
  • 強い疲れが取れない
  • 首の前が腫れてきた
  • 動悸や息切れが頻繁にある
  • 暑がり・寒がりが極端になった

これらが複数当てはまる場合は、早めの受診をおすすめします。

5. 検査と診断

病院では、血液検査で甲状腺ホルモン(T3、T4)やTSH(甲状腺刺激ホルモン)を測定します。

検査項目異常時の変化疑われる病気
TSH低下亢進症
TSH上昇低下症
FT3・FT4上昇亢進症
FT3・FT4低下低下症

6. 治療と生活の工夫

治療は病気の種類によって異なります。

  • 亢進症 → 薬物治療(抗甲状腺薬)、放射性ヨウ素治療、手術
  • 低下症 → 不足しているホルモンを補う薬(レボチロキシン)

また、生活面では次のような工夫が役立ちます。

  • バランスの良い食事(特にタンパク質・鉄・ビタミンB群)
  • 無理なダイエットを避ける
  • 睡眠をしっかり確保する
  • ストレスをため込まない
  • ヨウ素(海藻)の取りすぎには注意

男女差と年齢の影響

甲状腺疾患は性別や年齢によって発症リスクや症状の現れ方が異なります。

特に女性に多く、20〜40代で発症するケースが目立ちます。

妊娠や出産後はホルモンバランスの変化で一時的に甲状腺の機能が不安定になり、疲れや体重変化が起こりやすくなります。

また高齢者では、症状が一般的な老化と混同されやすく、見逃されることもあります。

以下の表に男女差と年齢による特徴をまとめました。

項目特徴
性別女性に多く、男性は発症率が低め
年齢20〜40代で亢進症、50代以降で低下症が増加
妊娠・出産後ホルモン変動により一時的に甲状腺機能が不安定
高齢者症状がわかりにくく、疲れや体重変化が老化と誤認される

これらの特徴を理解しておくことで、性別や年齢に関わらず、疲れや体重変化の原因を早期に疑う手助けになります。

「甲状腺と疲れ・体重減少の関係を解説!」まとめ

疲れや体重減少は、多くの人が経験する身近な症状ですが、その裏には甲状腺の異常が潜んでいる場合があります。

甲状腺ホルモンは全身の代謝を司るため、分泌量の過不足が体調に直結します。

特に、食欲があるのに体重が減る、寝ても疲れが取れない、首の腫れや動悸がある場合は、自己判断せず医療機関での検査が重要です。

早期に診断されれば、薬物療法や生活改善で症状は大きく改善できます。

疲れや体重減少は、体からのサインとして軽視せず、生活習慣の見直しや適切な医療介入で健康を取り戻すことが大切です。

自身の体調変化に敏感になることが、甲状腺疾患の早期発見につながります。

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