第1章 三日坊主は「意志が弱い」のではない
「また続かなかった……」
自己啓発本を読み終えた直後や、新しい習慣を始めて数日後、
そんな言葉を心の中でつぶやいたことはありませんか?
早起き、勉強、運動、日記、振り返り。
ビジネスに役立つと分かっているのに、なぜか続かない。
多くの人は、ここで自分を責めます。
「自分は意志が弱い」
「やっぱり向いていない」
「忙しいから仕方ない」
でも、はっきり言います。
三日坊主は、性格の問題ではありません。
原因はもっとシンプルで、
そしてほとんどの人が“同じところ”でつまずいています。
それは、
「続け方」を誰にも教わっていないこと。
学校では、
・目標の立て方
・行動の振り返り方
・習慣の作り方
を体系的に学ぶ機会は、ほとんどありません。
だから私たちは、
「やる気があるうちに、全力で始める」
→「疲れてやめる」
→「自己嫌悪」
→「また新しい方法を探す」
というループを繰り返します。
本章ではまず、
なぜ自己啓発が続かないのか
その構造を、ビジネスの視点から整理していきます。
第2章 自己啓発が続かない本当の原因― なぜ人は「分かっているのに」やめてしまうのか ―
自己啓発が続かない理由は、一つではありません。
でも、よく観察すると、ほとんどの人が同じ落とし穴にはまっています。
この章では、ビジネスパーソンが陥りがちな
「続かない原因」を整理します。
原因が分かれば、対策は驚くほどシンプルになります。
2-1 目標が「行動」ではなく「理想」になっている
「成長したい」
「仕事ができる人になりたい」
「自分を変えたい」
どれも素晴らしい目標です。
でも、ここに大きな落とし穴があります。
それは、抽象的すぎること。
脳は、
「何をすればいいのか分からない目標」
に対して、行動を起こせません。
結果として、
・やる気はある
・時間もある
・でも何から始めればいいか分からない
という状態になります。
そして、「今日はいいか」と先延ばしが始まる。
2-2 最初から“完璧な習慣”を作ろうとしている
多くの人が、こう考えます。
「毎日30分、しっかり振り返ろう」
「毎朝5時に起きて書こう」
「1日1ページ以上書こう」
でもこれは、
初心者がいきなりプロのやり方を真似している状態です。
ビジネスでも同じですよね。
いきなり完璧な仕組みを作ろうとすると、必ず破綻します。
習慣も同じ。
続く前に、重くなってしまうのです。
2-3 「記録」と「評価」を同時にやっている
日記を書こうとして、こんなことを考えたことはありませんか?
「今日はあまり頑張れなかったな」
「こんな内容、意味あるのかな」
「成長してない気がする」
これは、
記録しながら、自分を評価している状態です。
ビジネスで言えば、
データを集めながら、同時に査定会議をしているようなもの。
これでは、心理的な負荷が高すぎます。
続かなくて当然です。
2-4 「続けること」自体が目的になっていない
意外かもしれませんが、
多くの人は「何のために日記を書くのか」を
途中で見失います。
最初は、
・成長したい
・仕事に活かしたい
と思っていたのに、いつの間にか、
「書かなきゃ」
「続けなきゃ」
という義務に変わってしまう。
こうなると、日記は
自分を助けるツールではなく、
自分を責める道具になってしまいます。
第3章 三日坊主を克服する「日記術」の考え方― 続く人が無意識にやっていること ―
ここからは、
「じゃあ、どうすれば続くのか?」
という話をしていきます。
ポイントは、
気合や根性に頼らないこと。
続く人は、特別な意志を持っているわけではありません。
ただ、日記の使い方が違うだけです。
3-1 日記は「成長のため」ではなく「思考の整理」
まず、大前提として考え方を変えましょう。
日記は、
× 成長するために書くもの
○ 今の自分を整理するために書くもの
成長は、後からついてきます。
今日は何をしたか。
何が気になったか。
何に疲れたか。
これを書くだけで十分です。
多くの人が日記を「自己啓発ツール」として構えすぎてしまいます。
でも実際は、頭の中を一度外に出す作業にすぎません。
仕事で言えば、ホワイトボードに現状を書き出すようなもの。
整理されていない状態で前に進もうとするから、苦しくなるのです。
3-2 1日1行でも「やったこと」にする
続く日記の最大の特徴は、
ハードルが異常に低いこと。
・1行
・1分
・箇条書き1つ
これでOKです。
ビジネスでも、
「小さく試す」
「最小単位で回す」
が基本ですよね。
日記も同じです。
「今日は1行しか書けなかった」ではなく、
「1行書けた」こと自体を成功と定義する。
この定義変更が、三日坊主を卒業する大きな分かれ道になります。
3-3 感情ではなく「事実」を書く
「今日はダメだった」
「全然集中できなかった」
こうした感情ベースの日記は、
自己嫌悪につながりやすい。
代わりに、
事実だけを書くことを意識します。
・会議が長引いた
・想定外の対応が入った
・帰宅後は疲れて何もできなかった
これだけで十分です。
評価は、後でいい。
事実を書く習慣がつくと、
「自分がダメだからできなかった」のではなく、
「こういう条件だったから難しかった」と
冷静に状況を捉えられるようになります。
これはビジネス判断にも、確実に効いてきます。
3-4 「振り返らない日」を最初から作る
意外ですが、
毎日振り返らなくていいと決めると、続きます。
例えば、
・平日は書くだけ
・週末にまとめて見る
・月末だけ振り返る
こうすると、
日記が「軽い作業」になります。
振り返りはエネルギーを使います。
だからこそ、最初から“やらない日”を決めておく。
これはサボりではなく、継続のための戦略です。
第4章 ビジネスに効く日記の具体的な書き方― 今日から使えるシンプルなフォーマット ―
ここでは、
忙しいビジネスパーソン向けに
すぐ使える日記フォーマットを紹介します。
完璧にやる必要はありません。
「これならできそう」と思うものだけ、拾ってください。
4-1 1日の事実ログ(3行)
- 今日やったこと
- 想定外だったこと
- 気になったこと
これだけです。
ポイントは、
文章にしようとしないこと。
・A社と打ち合わせ
・資料修正が想定以上にかかった
・上司の一言が少し引っかかった
箇条書きで十分です。
「きれいに書こう」と思った瞬間、続かなくなります。
4-2 「よかったこと」を1つだけ書く
成果でなくていい。
・予定通り終わった
・無事に乗り切った
・早く帰れた
小さくてOKです。
ビジネスの現場では、
どうしても「できなかったこと」ばかりに目が向きます。
だから意識的に、1つだけ拾う。
この習慣が続くと、
「自分は何もできていない」という錯覚から、
少しずつ抜け出せるようになります。
4-3 反省は「改善案」だけ書く
× 反省:ダメだった
○ 改善:次は〇〇を試す
感情は書かなくていい。
たとえば、
・次回は資料を前日に8割作る
・会議前に結論を1行で整理する
これだけで十分です。
反省を書くときに大切なのは、
自分を評価しないこと。
日記は上司でも、評価シートでもありません。
4-4 書けない日は「書けなかった理由」を書く
これも立派な記録です。
・残業で余裕がなかった
・子どもの対応で精一杯だった
・正直、何も考えたくなかった
こうして理由を書いておくと、
後から振り返ったときに、
「忙しい時期」「余裕のないタイミング」が見えてきます。
これは、
自分の働き方を調整するための
重要なデータになります。
4-5 日記は「未来の自分」のために残す
最後に、忘れないでほしいことがあります。
この日記を読むのは、
基本的に未来のあなたです。
今は意味がないように見えても、
数週間、数か月後に読み返したとき、
「ああ、あの頃こうだったな」と
必ずヒントになります。
だから、立派じゃなくていい。
浅くていい。
途切れてもいい。
続けることより、
戻ってこられる形で残すこと。
それが、
ビジネスに効く日記の本質です。
第5章 三日坊主を卒業すると、仕事と人生が軽くなる
日記が続くようになると、
不思議な変化が起きます。
・自分を責める時間が減る
・思考が整理される
・判断が早くなる
・成長を実感しやすくなる
そして何より、
「続かない自分」を責めなくなる。
三日坊主を克服するというのは、
完璧な習慣を作ることではありません。
「やめても、戻ってこれる仕組み」を持つこと。
日記は、
あなたを管理するための道具ではなく、
あなたを支えるための道具です。
今日、1行だけでいい。
書けたら、それで十分です。
続かなかった過去があっても、
今日からまた始められます。
あなたのペースで、
あなたのための一冊を、
ゆっくり育てていきましょう。
