街角で、段ボールに入れられた子猫を見かけたことはありませんか?
あるいは、動物病院の掲示板に「授乳ボランティア募集」という張り紙を見た経験がある方もいるかもしれません。
そう、今、動物愛護の現場でひそかに注目されているのが「ミルクボランティア」という活動です。
これは、母猫を失ったり捨てられたりした乳飲み子猫を一時的に預かり、人工的にミルクを与えて命をつなぐ役割を担うボランティアです。
見た目の愛らしさとは裏腹に、決して軽い気持ちでできるものではなく、相応の責任と準備が求められます。
そんな「ミルクボランティア」について、具体的な活動内容や求められる条件、費用負担の実情などを詳しくご紹介します。
なぜ「ミルクボランティア」が必要なのか?

猫の繁殖期には、捨てられる子猫の数が一気に増加します。
特に春と秋には、動物愛護センターや保護団体に乳飲み子猫が大量に持ち込まれるのが現状です。
しかし、乳飲み子猫は特別なケアが必要な時期です。
まだ目も開いていないような生後数日の子猫には、2~3時間おきの授乳が必要で、保温や排泄の補助など、人の手を絶えず必要とします。
こうしたケアをセンターの職員が常時行うのは現実的に難しく、多くの命が助からずに消えていくのが現実です。
そんな中で、子猫の命をつなぐ存在として登場したのが「ミルクボランティア」です。
民間の力を借りて一時的に保護することで、救える命を増やそうという試みです。
ミルクボランティアの具体的な活動内容と条件、費用

活動内容
ミルクボランティアの主な役割は「授乳期の子猫の世話」です。
具体的には以下のような作業が日常的に求められます。
- 授乳(2~4時間おき、24時間体制)
- 排泄の補助(お尻を刺激して排尿・排便を促す)
- 体温管理(体が冷えないようペットヒーターや毛布を活用)
- 体重測定・健康観察
- 離乳までの育成(ミルクから離乳食への切り替えも支援)
多くの自治体や保護団体では、子猫が自力でフードを食べられるようになるまでをミルクボランティアの任期とすることが一般的です。
おおよそ生後4~5週間が目安とされています。

応募条件
ボランティアとはいえ、子猫の命を預かる重大な責任があるため、誰でもできるわけではありません。
以下のような条件が提示されることが多いです。
- 在宅時間が長く、こまめな授乳に対応できること
- 家族全員の理解が得られていること
- 先住動物がいる場合、隔離が可能であること
- 自家用車など移動手段があること(通院など必要なため)
- スマホやメールなどで定期的な報告が可能なこと
また、未成年の場合は保護者の同意が必要ですし、共働き家庭や乳幼児のいる家庭では断られることもあります。

費用の実情
「ボランティア」と聞くと、費用はかからない印象を持つかもしれません。
しかし、実際には自己負担があるケースがほとんどです。以下がその内訳です。
- ミルク代(粉ミルク):1缶約2,000円~3,000円
- 哺乳瓶やシリンジなどの備品代
- ペットヒーターや毛布などの保温器具
- トイレ用品(ペットシーツなど)
- 動物病院の診療代(団体が負担するケースもある)
一方で、団体によっては「ミルクや哺乳瓶は支給」「医療費は団体負担」「ケージを貸与」といった支援体制が整っていることもあります。
負担の程度は団体や地域によって異なるため、事前に確認することが大切です。
ミルクボランティアのやりがいと注意点
やりがい
- 目の前の命が確実に育っていく喜び
- 自分の手で命をつなげたという実感
- 譲渡会で新しい家族と出会う姿を見届けられること
保護団体や行政の支援を受けながら活動できる点も心強いポイントです。
インスタグラムやX(旧Twitter)で活動の様子を発信し、同じ志を持つ仲間とつながることも増えています。
注意点
- 睡眠不足になる可能性が高い
- 命を落とすこともある(すべての子が助かるとは限らない)
- 突然の通院や看取りが必要な場合もある
感情的な負担や体力的な疲労は避けられません。
特に初めての場合、経験豊富なボランティアや団体からのフォローがあると安心です。
「ミルクボランティアとは?条件や費用を紹介!」まとめ
ミルクボランティアは、気軽に始められる活動ではありませんが、そのぶん得られるものは非常に大きなものです。
命と向き合う時間、育っていく命の重み、そして最終的に新しい家族へとつながっていく奇跡のようなプロセス。
費用面や条件は決して軽くはありませんが、それでも多くの人がこの活動に魅力を感じ、リピーターとして継続している理由がそこにあります。
「小さな命を救いたい」「自分にできることをしたい」と思ったとき、ミルクボランティアという選択肢をぜひ検討してみてください。
その一歩が、救える命を増やす確かな一歩になります。