夜、パートナーが突然いびきをかかなくなったと安心していませんか?
実は「いびきなし」の睡眠にも大きな健康リスクが潜んでいます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、文字どおり睡眠中に呼吸が止まってしまう病気で、放置すると高血圧や心筋梗塞、脳卒中の原因にもなりかねません。
ここでは、「いびき」と「睡眠時無呼吸症候群」の密接な相関関係、そして「いびきがないから安全」という誤解について、医学的な観点から詳しく書いていきます。
いびきと睡眠時無呼吸症候群の基礎知識
まず前提として、それぞれの用語の意味を整理しておきたいと思います。
いびきとは何か?
いびきは、睡眠中に空気の通り道(気道)が狭くなり、呼吸のたびに粘膜が振動することで生じる音です。
軽いいびきは健康な人でも起こりますが、大きないびきや不規則ないびきは、気道の深刻な狭窄を示すサインであることもあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に10秒以上の無呼吸状態が繰り返し起きる病気です。
特に多いのが「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」で、気道の閉塞によって発生します。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
- 大きないびき
- 昼間の強い眠気
- 起床時の頭痛
- 夜間頻尿
- 注意力低下
このように、いびきと睡眠時無呼吸症候群は非常に密接な相関関係を持っていますが、「いびきがないから大丈夫」という考えには大きな落とし穴があります。
いびきなしでも油断できない睡眠時無呼吸症候群
いびきがないタイプの睡眠時無呼吸症候群も存在する
睡眠時無呼吸症候群というと、「いびきがうるさい人」がなる病気と思われがちですが、実際にはいびきをかかないタイプの睡眠時無呼吸症候群も存在します。
特に次のようなケースでは、無呼吸があってもいびきをかかないことがあります。
- 完全に気道が閉塞しており、空気の振動が生じない
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群(脳の呼吸中枢が働かなくなる)
- 呼吸努力が少ない高齢者
このように、いびきなし=安全というのは大きな誤解なのです。
相関関係の誤認が命取りに
いびきがあると「うるさいけどまだ呼吸はしている」と見なされがちですが、いびきが消えた瞬間に無呼吸が始まっている可能性もあります。逆に、いびきがないために異常に気づけないケースも多いのです。
また、パートナーが「最近静かに寝ている」と安心している家庭ほど、本人の強い日中の眠気などに注意を払っていない傾向があります。
医学的データで見る「いびき」と「無呼吸」の相関性
ある研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者のうち、20%以上が「目立ったいびきを示さない」と報告されています。
これはつまり、いびきの有無だけで無呼吸症候群の有無を判断するのは危険ということを示しています。
睡眠ポリグラフ検査の重要性
いびきの有無にかかわらず、日中に眠気が強い、集中力が続かない、熟睡感がないといった症状があれば、医療機関での検査を受けることが大切です。
簡易検査キットや睡眠外来によるポリグラフ検査で無呼吸の有無が判定されます。
早期発見・治療が何よりの予防策となります。
いびきなしでも要注意のサインとは?
いびきがなくても、以下のような症状がある方は注意が必要です。
- 朝起きたときに喉が渇いている
- 寝汗をかく
- 寝ても疲れが取れない
- 夜中に何度も目が覚める
- 車の運転中に眠くなる
これらは睡眠の質が低下している証拠であり、無呼吸によって断続的に目覚めている可能性があります。
「いびきなしでも睡眠時無呼吸症候群?静かな眠りの裏に潜むリスク!」まとめ
いびきと睡眠時無呼吸症候群の相関関係は深く、いびきがあることが無呼吸のサインである一方で、「いびきがない」ことが逆に症状の発見を遅らせるリスクにもつながります。
特に中高年や肥満体型、日中の眠気がある方は、いびきの有無にかかわらず医療機関での検査を受けることをおすすめします。
正しい理解と早期の対応が、健康と命を守る第一歩になることでしょう。