イノシシやアライグマなどの有害鳥獣による被害は年々深刻化しています。
農作物への被害だけではなく、人々の暮らしや自然環境にも大きな影響を与えています。
こうした状況に対応するためには、地域と猟友会、行政などが連携して取り組むことが重要です。
■イノシシとアライグマなどの被害とは

イノシシやアライグマなどは、農業や人々の生活に大きな被害をもたらす「有害鳥獣」として知られています。
≪イノシシ≫
主に中山間地域や里山に生息していますが、エサを求めて人里に下りてくるようになりました。
イネやサツマイモ、トウモロコシなどを荒らすことが多く、農家にとっては大きな損失となります。
また、鋭い牙で人を傷つける可能性もあり、実際にケガ人が出るケースも報告されています。
≪アライグマ≫
もともと日本にいなかった動物で、ペットとして輸入された個体が野生化して広範囲に生息するようになりました(有名なアニメの影響が大きかったとの説もあります)。
果物や野菜を食べるほか、屋根裏に住み着き、断熱材を荒らしたりフンをためたりして、住居環境を悪化させます。
感染症のリスクもあるため、注意が必要です。
※筆者の自宅屋根裏にもアライグマが侵入して子供4匹を産んでいました。業者に依頼して排除してもらったのですが、相応の費用が発生しました。放っておいたら糞尿被害も出ていたと思いますので必要な出費だったと思っています。
■なぜ問題が深刻になっているのか

有害鳥獣による被害が増えている背景には、以下の要因があります。
・山間部の過疎化が進み、耕作放棄地が増えたことで、野生動物にとって住みやすい環境が広がっている点が挙げられます。かつては里山での人の活動が動物の行動を抑制していましたが、それが失われたことで、イノシシやアライグマが人里に入りやすくなっています。
・温暖化の影響や餌となる木の実の不作などで、動物たちが食べるものがなく人間の生活圏に近づくようになったと言われています。
・アライグマに関しては外来種であり、天敵が少ないため、繁殖力の強さが被害の拡大を加速させています。
■被害を防ぐための取り組み

こうした被害に対して、地域ではさまざまな取り組みが行われています。代表的なものの一つが「猟友会」の活動です。
猟友会は、狩猟免許を持った人たちが集まって作る団体で、有害鳥獣の捕獲や駆除を行っています。地元の自治体と協力し、イノシシやアライグマの生息状況を調査したうえで、くくり罠や箱罠を使用して、農業被害などを減らすよう捕獲活動に取り組んでいます。
また、電気柵やワイヤーメッシュ柵を設置するなどの物理的な対策も進められており、最近では、動物の侵入をセンサーで感知し、音や光で追い払う機械も開発されているようです。
ただし、捕獲だけでは根本的な解決にはなりません。野生動物が人里に近づかないような環境整備も必要です。
■現状の課題

この問題には以下の課題があります。
・猟友会の会員の高齢化が進んでおり、若い担い手が少なく、活動を維持するのが難しくなっている。
・動物愛護の観点から、駆除に対する理解が得られにくい場合もあります。しかし、放置すれば農業の持続可能性が損なわれ、地域の暮らしが立ち行かなくなってしまう恐れがあります。
・アライグマのような外来種は、生態系にも悪影響を及ぼすため、早期の対策が求められています。
■まとめ
イノシシやアライグマによる被害は、農家だけでなく地域社会全体にとっての問題です。被害を防ぐためには、猟友会の活動だけではなく、地域の人々一人ひとりが問題意識を持ち、環境づくりに参加していくことが求められています。自然と人とのバランスを保つために、協力して行動することが必要です。
※参照:【備蓄米】保存期間と管理方法:安定供給を支える政府備蓄の実態