静岡市の中心部、松坂屋静岡店の本館 7 階に位置する スマートアクアリウム静岡 は、駅から徒歩わずか数分で訪れることができる “都市型アクアリウム” です。
特徴的なのは展示だけではありません。2024 年から導入された 平日の入場料制度(ポストプライシング制度) により、来館者が自分の満足度に応じて料金を決められる仕組みが話題を呼んでいます。
本記事では、施設概要と制度の基本を押さえ、その上で制度を軸に見た多様な魅力を掘り下げます。
施設概要と平日制度
スマートアクアリウム静岡は「五感で楽しむ小さな水族館」をコンセプトに、44 基の水槽と約 100 種の生き物を展示しています。
大規模水族館とは異なり、“間近で観察できる濃密な空間” が特徴です。
そして注目されるのが 平日限定のポストプライシング制度 です。
これは、入館後にアンケートを記入し、自分が感じた価値に応じて支払額を決める仕組みです。
0 円から自由に設定でき、金額に応じて特典がもらえる点もユニークです。
一方、土日祝日や繁忙期は従来の固定料金制が適用されます。
表:施設と料金概要
項目 | 内容 |
所在地 | 松坂屋静岡店 本館 7 階(静岡駅徒歩約 3 分) |
展示規模 | 約 100 種・水槽 44 基 |
営業時間 | 10:00~18:30(最終入場 18:00) |
通常料金 | 大人 1,400 円/小学生 800 円/幼児 500 円/3 歳未満無料 |
平日制度 | ポストプライシング(0 円~自由設定) |
特典 | 支払額に応じてクリアファイルやポストカードを進呈 |
適用外 | 土日祝日・繁忙期・団体利用 |
平日入場料制度を軸に見るスマートアクアリウム静岡の魅力
1. 平日料金制度が生み出す新しい体験価値
スマートアクアリウム静岡の最大の特徴は、平日限定で導入された「ポストプライシング制度」 にあります。
これは、来館者が館内を体験した後、感じた満足度に応じて料金を決める方式です。
通常の水族館では「入館前に料金を支払う」のが当たり前ですが、ここでは「体験した後に支払う」という流れが逆転しています。
この仕組みは単に“料金が安くなるかもしれない”というだけではなく、来館者の意識を変える効果を持ちます。
展示を楽しみながら「この体験はいくらの価値があるだろう」と自然に考えるようになり、結果として 体験そのものをより深く意識するきっかけ となります。
さらに、支払額に応じてクリアファイルやポストカードなどの特典がもらえるため、単なる支払いではなく “楽しみの延長” として料金を決められるのです。
制度の特徴 | 内容 |
支払いタイミング | 退館時にアンケート後、来館者が決定 |
支払額 | 0 円から自由に設定可能 |
特典 | 支払額に応じてクリアファイル・ポストカードなどを進呈 |
対象 | 平日個人来館者のみ(団体・休日は従来制度) |
2. 平日誘客と来館者増加への効果
この制度の導入は、単なる話題づくりではなく 明確な集客戦略 です。
平日はどうしても来館者数が少なくなりがちですが、この制度を導入したことで「気軽に試してみよう」と考える人が増え、実際に 試験導入時には来館者が前年の約5倍に増加 したと報じられています。
つまり、料金制度そのものが「平日だからこそ行きたくなる理由」となっているのです。
さらに、支払額を自由にできる安心感から、普段水族館に行かない層、たとえば会社帰りの大人や買い物途中の人も訪れるきっかけになります。
項目 | 従来の課題 | 制度導入後の効果 |
平日の来館者数 | 少なく、稼働率が低い | 前年比約5倍に増加 |
来館者層 | 家族連れ中心 | 社会人・買い物客など新層が増加 |
支払意識 | 事前に決まった額を払うだけ | 体験価値を意識して支払う |
3. 展示と料金制度の相乗効果
料金制度の自由度は、展示体験と強く結びついています。
来館者は「この展示にはいくら払いたいか」という感覚を持つため、展示の細部や雰囲気により注意を払うようになります。
結果として、展示設計そのものが支払額を左右する重要な要素となるのです。
スマートアクアリウム静岡は、小型水槽を中心にした濃密な空間設計 を採用しています。
大型水槽で圧倒するのではなく、一つひとつの水槽を間近で観察できるよう配置し、じっくり眺める喜びを演出します。
この “近さ” こそが、来館者に「意外に深い体験だった」と感じさせ、支払額を高める動機になっています。
展示の特徴 | 来館者の体験 | 支払額への影響 |
小型水槽44基 | 生き物を間近で観察できる | 「身近さ」「親しみ」で価値を感じやすい |
テーマゾーン | 眺める・繋がる・和むなど物語性 | 記憶に残りやすく支払い意欲を刺激 |
参加型体験 | 餌やり、ドクターフィッシュ等 | 楽しさが満足度を高め、高額支払いにつながる |
4. 平日ならではの静けさが生む価値
制度の効果を最大限に感じられるのが、平日ならではの静かな環境です。
休日の混雑では味わえない「水槽前でじっくり座り込んで観察する時間」や「展示解説を一言一句読める余裕」があります。
この “静かな時間” こそ、料金制度と相性が良い のです。
静かに魚の動きを追い、光や水の演出に浸る時間は、来館者にとって「金額以上の価値がある」と感じやすい瞬間になります。
結果として「固定料金以上を払おう」と思う人も少なくありません。
平日利用のメリット | 休日との違い |
混雑が少ない | ゆったり水槽を独占できる |
鑑賞時間が長い | 解説や展示を細かく楽しめる |
静けさ | 癒し効果が高まり、満足度も上がる |
5. 静岡らしさを活かした地域展示
展示内容の中には「静岡の源流から駿河湾へ」と題した地域密着型のテーマがあり、これは “ここでしか見られない” オリジナリティ を生み出しています。
地元の川魚や駿河湾の生き物を一続きの流れで展示する構成は、来館者に静岡の自然環境を身近に感じさせます。
観光で訪れた人にとっては「静岡らしさを味わえた」という満足につながり、地元の人にとっては「身近な自然を再発見した」と感じる体験になります。
いずれにしても、支払いに対してプラスの要因となります。
6. リピーター育成につながる制度設計
ポストプライシングは一度きりの制度ではなく、リピーターを呼び込む仕組み としても機能します。
初回はお試し感覚で少額を支払った来館者も、「思った以上に楽しかったから次回はもっと支払おう」と考えるようになります。
さらに、季節ごとに展示を更新するため、何度訪れても新しい体験が待っています。
こうして「次も来たい」「次は少し多めに払おう」と思わせる循環が生まれ、施設の持続的な集客につながります。
7. 制度運営の課題と工夫
革新的な制度には課題もあります。
0 円で退館する来館者が一定数存在する可能性や、収益の安定性をどう確保するかといった問題です。
そこで施設側は、特典制度やアンケートの工夫 によって支払額を上げやすくする努力をしています。
課題 | 対策 |
無料退館者の存在 | 特典付与で支払額を促進 |
収益の不安定性 | 平日限定にすることでバランスを確保 |
団体利用との整合性 | 団体は従来料金制を適用 |
来館者の心理的不安 | アンケート形式で自然に支払額を導く |
利用上の注意点とヒント
革新的な制度である一方、利用者が注意しておきたい点もあります。
平日以外は固定料金が適用されること、団体利用は制度の対象外であること、支払い額は自由ですが特典との関係で目安を考えておくと安心です。
また、繁忙期は入場制限がかかる場合もあるため、事前の確認が重要です。
表:注意点と利用のヒント
項目 | 内容 |
固定料金適用日 | 土日祝日・繁忙期 |
団体利用 | ポストプライシングは対象外 |
支払額 | 0 円から自由。目安は従来の固定料金 |
特典 | 支払額に応じて記念品を進呈 |
混雑回避 | 平日昼間が最も空いており、静かに鑑賞可能 |
最新情報 | 公式サイトで確認するのが安心 |
「スマートアクアリウム静岡の魅力とは?」まとめ
スマートアクアリウム静岡は、展示の魅力と料金制度の新しさが融合した都市型アクアリウム です。
特に平日導入のポストプライシング制度は、来館者が自ら体験の価値を決めるというユニークな仕組みで、料金そのものが “鑑賞体験の一部” となっています。
静かな平日であれば、展示をゆっくり堪能でき、支払いの自由度と相まって満足感がさらに高まります。
注意点を理解し、制度を活かして訪れることで、他にはない水族館体験を味わえるでしょう。