私たち人間をはじめ、動物たちの「寿命」はどのように決まっているのでしょうか。
体の大きさや生活環境、遺伝など、さまざまな要因が複雑に絡んでいるように思えますが、実は一つの興味深い仮説があります。
それが「動物の寿命は脈を打つ回数によって決まっている」というものです。
これは単なる迷信や都市伝説ではなく、科学的な観察や統計から導き出された一つの考え方です。
ここでは、脈拍と寿命の関係に着目しながら、哺乳類を中心とした動物たちの生命活動のリズムについて、具体的なデータや事例を交えながらわかりやすくご紹介していきます。
1. 動物は「脈の数」で寿命が決まるという仮説
「動物の一生で打つ脈の数は、ほぼ一定である」という説があります。
これは、哺乳類に関しての数多くの研究結果が示しており、たとえばゾウやクジラのように心拍がゆっくりな動物は寿命が長く、逆にネズミのように心拍が速い動物は短命であるという統計的な傾向があるのです。
おおよそですが、哺乳類の一生で心臓が打つ回数は 約15億回前後 というのが通説です。
この法則に従えば、たとえば毎分500回も心臓を打つハツカネズミの寿命が2〜3年程度である一方で、ゾウのように毎分30回程度しか鼓動を打たない動物は60〜70年もの寿命を持つという現象が説明できます。
2. 実際の動物による比較
以下に、動物の平均寿命と平均心拍数を比較した簡単な表を示します。
動物 | 平均寿命 | 平均心拍数(bpm) | 一生の脈拍数(概算) |
---|---|---|---|
ハツカネズミ | 約2年 | 約500回 | 約5.3億回 |
ウサギ | 約9年 | 約205回 | 約9.7億回 |
犬 | 約13年 | 約100回 | 約6.8億回 |
人間 | 約80年 | 約70回 | 約29億回 |
ゾウ | 約70年 | 約30回 | 約11億回 |
クジラ | 約90年 | 約20回 | 約9.5億回 |
この表を見ると、厳密に15億回に統一されているわけではありませんが、おおよそ10億前後に収まっていることがわかります。
つまり「生き物の寿命は心臓が動ける回数に制限されているのでは?」という仮説に信憑性があると考えられているのです。
3. なぜ心拍が寿命に関係するのか?
心拍数が高いということは、心臓がそれだけ頻繁に働いていることを意味します。
これは代謝が活発であることとほぼ同義で、体の細胞が酸素を多く消費し、老化も早く進みやすい傾向にあります。
代謝が活発なほど体の酸化や損傷の速度も上がり、結果として寿命が短くなる、という因果関係があるのです。
このメカニズムは、人間の生活習慣病や加齢現象ともつながってきます。
たとえば高血圧やストレスは心拍数を上昇させ、結果的に心臓への負担が増すとされています。
4. 呼吸回数との関連
脈拍とともに、動物の呼吸回数も寿命に関係しているという説もあります。
呼吸をするときには酸素を体内に取り込みますが、同時に「活性酸素」も発生します。
活性酸素は老化の原因になるとされており、これを多く取り込むほど細胞の劣化が進むとも考えられているのです。
この点からも、呼吸回数が少なく代謝がゆっくりな動物の方が、長く生きる傾向があるのは理にかなっているといえます。
5. 人間の場合は例外なのか?
興味深いのは人間の存在です。
人間は寿命が80〜90年と比較的長い一方で、心拍数は70前後で安定しており、トータルの心拍数ではおおよそ29億回と、15億回の倍近くに達します。
なぜ人間はこの法則から外れているのでしょうか?
その答えのひとつが、「医学・衛生・栄養・社会環境の進化」です。
人間は他の動物と違って自分の生活環境をコントロールする術を手に入れ、寿命を人為的に延ばすことに成功した種なのです。
さらに運動や瞑想、深い呼吸などを取り入れることで、意識的に心拍数を調整することも可能になっています。
6. 「【衝撃】動物の脈と寿命に法則あり?科学が明かす鼓動の秘密」のまとめ
動物たちの寿命が「脈を打つ回数」で決まっているという説は、単なる思いつきではなく、数々の観察結果や統計データに裏打ちされた科学的仮説です。
哺乳類の多くが「およそ15億回の心拍数」でその生涯を終えるという事実は、生命の神秘を感じさせてくれます。
人間だけはその枠を超える存在となりましたが、それでも「心拍数と寿命」の関係は無視できません。
心を穏やかに保ち、身体に負荷をかけすぎず生きることこそ、長く健康的に生きる秘訣と言えるのではないでしょうか。