「最近、若者でも耳が聞こえづらいって言う人が増えているらしいよ」。
そんな話を耳にしたことはありませんか?
「難聴(なんちょう)」というと、年を取ってから起こるイメージがあるかもしれません。
しかし、今、10代や20代の若者の中にも、イヤホンの使いすぎなどで難聴を訴える人が増えています。
さらに、最近の研究では「難聴」と「認知症(にんちしょう)」に深い関係があることがわかってきました。
ここでは、「耳の機能」という視点から、難聴と認知症の関係、そして若者に広がる難聴の現状について、わかりやすく解説していきます。
耳と脳はつながっている
耳のしくみとは?
耳は音を集めて、脳に伝える役割をしています。
外から入ってきた音は「外耳→中耳→内耳→聴神経→脳」の順に伝わり、私たちはそれを「聞こえた」と感じます。
とても細かい仕組みで成り立っており、どこかが傷つくと、音がうまく伝わらなくなります。
難聴とは?
難聴とは「音が聞こえにくくなること」です。
耳の中の細胞や神経が傷ついたり、老化で働きが弱くなったりすることで起こります。
認知症とは?
認知症とは、もの忘れがひどくなったり、判断力が下がったりして、日常生活に支障をきたす病気です。
多くは高齢者に多いですが、耳との関係が注目されています。
難聴と認知症の深い関係とは?
誰が影響を受ける?
認知症は高齢者に多い病気ですが、難聴を放置した若者でも将来の発症リスクが上がると言われています。
何が問題なのか?
2020年に発表された「ランセット国際委員会の報告書」では、「難聴は認知症の大きなリスク要因の一つ」とされています。
なぜ関係があるのか?
音が聞こえにくくなると、脳は聞き取るためにエネルギーを多く使い、ほかの機能(記憶、判断など)に使える力が減ってしまいます。
また、人との会話が減ることで「孤立」することによって、脳の衰えを早めると言われています。
いつから気をつけるべき?
耳の老化は意外と早く、40代から始まることもあります。
しかし、最近は10代や20代でもイヤホンの長時間使用により「若年性難聴」と呼ばれる症状を訴える人が増えています。
どこで影響が出る?
難聴の影響は家庭、学校、職場などあらゆる場面で現れます。
聞き返すことが多くなり、ストレスや誤解が生まれやすくなります。
どうすれば防げる?
定期的に耳の健康チェックを受けることが大切です。
また、音量の大きいイヤホンの使用を控えることや、耳栓を使うなど、生活習慣の見直しが効果的です。
若者に広がるイヤホン難聴の実態
スマホと音楽の影響
現代の若者は音楽や動画を楽しむ時間が長く、音量が大きいまま何時間もイヤホンをつけていることが多くあります。
WHO(世界保健機関)によると、12〜35歳の若者のうち、約11億人が「音に関する危険な習慣」によって将来的な難聴のリスクを抱えているとのことです。
イヤホンの「音漏れ」も危険信号
音が漏れるほど大きな音で聴いていると、内耳の有毛細胞がダメージを受け、回復できないまま難聴が進行していきます。
この細胞は一度傷つくと元に戻りません。
学校では気づかれにくい
難聴は見た目ではわかりにくいため、先生や友達も気づきにくいです。
「何度も聞き返す」「話についていけない」などのサインがあるときは、早めに耳鼻科の受診が必要です。
「難聴が認知症に及ぼす影響と若者への警鐘!」まとめ
難聴と認知症の関係、そして若者に広がる難聴の問題について見てきました。
耳は音を聞くだけでなく、脳との連携にも大切な役割を持っています。
「まだ若いから大丈夫」と思わず、今から耳の健康に気をつけることが、将来の認知症予防にもつながるのです。
イヤホンの使い方を見直したり、定期的に耳のチェックを受けたりするだけでも、大きな効果があります。
これからの時代、「聞こえる」ということは、より価値ある健康資源となるでしょう。
耳を守ることは、自分の未来を守ることでもあるのです。